嫌がらせおせち

ドけち鬼嫁が、どういう風の吹き回しか作ってくれた、豪華おせち重。
日頃虐げられても、やっぱり俺、愛されてる……！
と、喜んだのは蓋を開けるまで。

……何じゃこりゃ～！！
まず鯛、お頭ぶった切って、めでたい感半減。真っ直ぐな（フライ用）海老。ふくらぎ止まりの（判る自分が憎い）不出世ブリ。ゴマ付き金柑（近眼）。巻いてない伊達巻って、ただの伊達だろ！
錦卵は純白（伊達巻と折半）。先が見通せない辛子蓮根。昆布抜きのかんぴょう巻。青白い紅白かまぼこ、寒過ぎて俺が蒼褪めるわ！
栗きんとん、焦げて金団ならぬ禁断になってるし。黒豆はトッピング一味。（多分赤貧とか赤字とか）数の子は数える程も入ってない。田作りは目刺し＆バッテン。豊作どころか凶作だな。あぁ、俺の人生みたい。苦労尽くめの黒おせち……。

ん、重箱の底にメモ？
『愛する貴方へ♡″』
ふ、俺はもう騙されないぞ。
要は、おせぢ（お世辞）って事だろ。