或る少女の独白

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私は、自分が両親の本当の子どもではないことを知っている。
「私たちはあなたを愛しているわ」
「わかっているわ、ママ」
「僕たちのところに来てくれてありがとう」
「パパ。私、幸せよ」
頬擦りしながら、私はママとパパの愛を受け入れる。それは堪らなく幸せで、そして悲しく、罪深いことだ。
彼らの本当の子どもは、私が食べてしまった。だって、あまりにも幸せそうだったから。あの家の子どもになりたいと願ってしまったから。魂を食らって、皮を被って成りすました。
人間の振りをして生きる私はかつて化け物だった。愛を知らずに死んでいくと生まれた時から決まっていて、それでいいと思っていたのに。愛されることを望んでしまった。
許されないことをした私はきっと幸せになれない。天国にはいけない。神様はきっと私をお許しにならないから。
「パパ、ママ、だいすきよ」
私がこの家の本当の子どもではないことを、私だけが知っている。
ホラー
公開:18/12/31 13:19

ハナヅキアキ

ショートショートも写真も初心者。
緩やかな日常を生きています。
生まれ変わったらジンベエザメになりたい。
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