独身家族

「私たち、家族になったんだね」
　手続きを終えた帰り道、友香はつぶやいた。
「何、もう、後悔してるの？」
　恵がたずねると、友香は首を振った。
「ううん、独身で同性の私たちが家族になるには養子縁組しかなかったから、それはいいんだけど」
　友香が愚痴っぽく付け加えた。
「同い年なのに私が親っていうのが、納得できなくて」
「でも、年上は養子にできないし。友香の誕生日は私より早いから、仕方ないじゃない」
　美沙が言った。
「うん、わかってる。できるだけ、公平にするために一人ずつ親になろうって決めたんだもんね」
「そう、友香の娘は恵、恵の娘は美沙、美沙の娘は早希」
　美沙が歌うように言うと、友香は笑った。
「せっかく、四人家族になったんだから、手をつないで帰ろう」
　早希がそう言うと、みんな、さっと手を出した。
　祖母と母と娘と孫。
　四人は手をつないで帰った。