家族の笑顔を守る小さな大黒柱

2
4

僕は末っ子。
だから結構甘やかされる。けれどそれが嬉しい事とは限らない。

例えば姉や兄が食べ物をくれたりするけど、二人にとって好きな物が僕にとっては嫌いな物だったりする。でも「いらない」と言えば、あまのじゃくだとからかわれる。
他にも肌寒いからとモコモコした上着を親がくれるけど、僕は暑がりだからそんなの迷惑でしかない。

みんな勝手だ。
こんな理不尽、僕は盗んだ三輪車で走り出したい! ……盗まないけど。

「あーん」
姉が今日も食べ物を差し出してくる。切り分けられたロースカツの真ん中だ。僕は端っこが好きなのに。まあ端は余分に火が通るから肉がパサつくし、その反対の端も脂身だけだから真ん中が一番良いんだろうけど。
「ほら、あ~ん」
のん気な笑みを向けてくる姉。みんなも微笑んできている。
僕は……この笑顔が何より好きだ。
まったく世話が焼ける。僕は家族の笑顔の為、笑顔でカツへ齧りつくのだった。
その他
公開:18/12/30 22:15

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容