炬燵の女
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ある年の暮れ、うちの炬燵に知らない女が入っていた。
幽霊なのか、何なのか。座って蜜柑を食べていたり、いつの間にか炬燵で寝てたりする。
その日も私が炬燵に入って横になっていると、隣りに女が座ってこちらをじっと見ていた。だんだん炬燵が熱くなってきたものだから、我慢できずに炬燵から出ようとすると、女はいきなり私の上半身を掴み
「まだだ」
と言った。
炬燵はどんどん熱くなるし、恐ろしくなり、女の手を力いっぱい振り払うと、勢い余って女が炬燵から飛び出した。
なんと女には下半身がなく、裸のヤドカリのようであった。女は這いつくばり、素早く炬燵の中にもぐり込んだ。すると中から、スポンと何かが抜けるような小気味良い音がした。怖々炬燵を覗き込むと女が私の体から足を抜いている。そうして綺麗に抜けた男の毛深い足を自分の体にくっつけ、スタスタと出ていった。
それ以来、私は炬燵で、あの女の帰りを待っている。
幽霊なのか、何なのか。座って蜜柑を食べていたり、いつの間にか炬燵で寝てたりする。
その日も私が炬燵に入って横になっていると、隣りに女が座ってこちらをじっと見ていた。だんだん炬燵が熱くなってきたものだから、我慢できずに炬燵から出ようとすると、女はいきなり私の上半身を掴み
「まだだ」
と言った。
炬燵はどんどん熱くなるし、恐ろしくなり、女の手を力いっぱい振り払うと、勢い余って女が炬燵から飛び出した。
なんと女には下半身がなく、裸のヤドカリのようであった。女は這いつくばり、素早く炬燵の中にもぐり込んだ。すると中から、スポンと何かが抜けるような小気味良い音がした。怖々炬燵を覗き込むと女が私の体から足を抜いている。そうして綺麗に抜けた男の毛深い足を自分の体にくっつけ、スタスタと出ていった。
それ以来、私は炬燵で、あの女の帰りを待っている。
その他
公開:18/12/31 19:04
人間界で書いたり読んだりしてる骸骨。白むうと黒むうがいます。読書、音楽、舞台、昆虫が好き。松尾スズキと大人計画を愛する。ショートショートマガジン『ベリショーズ 』編集。そるとばたあ@ことば遊びのマネージャー。
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