最高の１日

仕事帰りに場末の居酒屋で安い酒を飲んで家に帰る。そんな毎日に俺は嫌気がさしていた。何かいいことねぇかなぁ…
「どうしたんだい、あんちゃん？暗い顔して。今日は良い肉が入ったんだ！食っていかねぇか？」
そんな俺に反して居酒屋の大将はいつも幸せそうだ。どうやったら毎日楽しく過ごせるか参考までに聞いてみた。
「そりゃ、俺は今日が最高の１日だって信じているからよ」
最高の１日？
「ああ、今日は良い事があるって信じるんだ。そうすれば毎日が楽しくなるぜ」
じゃあ明日は？
「明日は今日よりも最高の１日が待っているんだ！楽しみでならないよ」
さすが亥年生まれの大将。猪突妄信な考えに俺は思わず笑ってしまう。
同じ亥年生まれの俺もそんな大将にあやかるとしよう。良い肉って何だい？
「そりゃ勿論ボタン鍋だよ」
鍋と共に出されるのはこれまた良い日本酒。くぅ～、日本人に生まれて良かった！俺は今、最高の１日を感じている！