たまには役割交代を

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 毎朝会社に行くのを嫌がる父が、今朝は何故だかノリノリで出かけていった。
 母が私を起こしにきたけど、二度寝した。今日は日曜、もっとゆっくり寝かせてほしい。すぐ側で犬のパピーが吠えている。いつもはそんなに吠えないのに。口うるさいのは母一人で十分だ。
 それにしても、さっきから焦げ臭い。料理下手な妹が、またトーストを真っ黒にしたらしい。仕方がない、少し手伝ってあげようか。

 台所を覗くと、母がぎょっとした顔で私を見た。もしかして、寝癖が酷い? とりあえず顔を洗って……えっ。

 鏡に写っていたのは、妹の顔。
「ちょっと、何これ!?」
「お姉ちゃん!」
 私が妹の身体にいて、妹が母の身体にいる。私は慌てて、まだ寝ている自分の身体を叩き起こした。
「会社が休みの日くらい、寝かせてくれよ」
 紛れもなく父。そして、さっきから物言いたげなパピーは、母?

 ということは、今朝出ていった父は──。
ミステリー・推理
公開:18/12/31 15:22
更新:18/12/31 15:24

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