氷雪ビックバン

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「ぼく?」天文館館長は少年に声をかけた。
「毎日来てるけど星が好きなんだね」
少年はうなずく。けど少年の顔はどことなく暗い。
「どうしたの?」館長が尋ねると少年は勢いよく話し出した。
「英語とか水泳とかママがうるさいんだ。僕は星が好きなのに」
館長は少年と目を合わせた。そして向こうのロケットを指さした。
「あれに乗って宇宙の始まりを見に行こう!」
二人はロケットに飛び乗り宇宙へ飛び出した。

真っ暗闇。少年は寒さで震える。その時

ドーーーン

雪のような粒をまき散らし、一点だった光は急激に膨らんだ。やがて銀河が現れ、太陽が現れ、青い地球が現れた。
「さあ、ここからがお楽しみ。未来の宇宙も見に行くよ」
ぐすん…
少年は顔を下に向け涙ぐんだ。
「帰りたいの?」「うん」少年はうなずいた。
「よし、お家に帰ろう。みんな待ってる」
少年はぱっと顔を上げた。
ロケットは向きを変え、地球へと向かった。
SF
公開:18/12/31 14:53
家族 物理

数理十九

第27回ゆきのまち幻想文学賞「大湊ホテル」入選
第28回ゆきのまち幻想文学賞「永下のトンネル」長編佳作
一期一会。
気の向くままに書いては、読んで、コメントしています。
特に数学・物理系のショートショートにはすぐに化学反応(?)します。
ガチの数学ショートショートを投稿したいのですが、数式が打てない…
書こうと考えてもダメで、ふと閃いたら書けるタイプ。
最近は定期投稿できてないですが、アイデアたまったら気ままに出没します。

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