生の道

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私が祖父と別れたのは6歳の頃だった。
牧開く頃、震災で亡くなったと聞かされた。
その父と再会したのは同年冬のこと、私と母で大きな規模のイルミネーションを見に行き、そこで小さいころ特有のあれになった。
そこである路地に迷い込んだ。
そこには幾枚かの若い男の写真やその男の冠婚葬祭の写真まであった。
そこは人間の腸みたくくねくねとしていたが、不思議と悪い気分にはならなかった。
その奥に祖父がいた。別れた時と同じ背格好だった。
そこで私はこの道は祖父の内部だったのだと錯覚を覚えた。
私に向かってニッと笑っている祖父をみて踵を返してそこをあとにした。
それからイルミネーションを見たかどうかも記憶にない。
帰りの車の中で母が「ここは震災犠牲者を悼む場所なのよ」と
教えてもらった。
そこで私も祖父に負けず、闇の中でこうこうと光るそれを見てニッと笑った。
その他
公開:18/12/30 00:02

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