ヤサチャーダイ

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 クリスマスも過ぎた年の瀬、早稲田の穴八幡宮で一陽来復の御守りを授ったら、あとはメルシーでラーメンを食べる。
 店に入ると、おばちゃんに「相席で」と声をかけられて、ダウンジャケットを着たままラーメンを啜るおじさんの向かいに座った。
 てかてかのテーブル。十年前も二十年前もてかてかしていた。間違って肘でもつこうものなら、コートが溶けかねない。
「野菜チャーシュー大盛りください」
「ヤサチャーダイね。ヤサチャーダイっていうのよ」
 このやり取りも毎年変わらない。
 ヤサチャーダイがくる。コーンの黄色、ニンジンの橙、そこで何をしているのかわからないインゲンの緑。
 さっそくコショウを一振り、お酢をレンゲ二杯、ラー油を適当にかけたら、麺を持ち上げて鮮やかな彩りをぜんぶ底に沈めてやる。ざまぁみろ。
 分厚いチャーシューにかぶりついたら、麺を思いっきり頬張る。ズズ。ズズ。鼻水が垂れる。
青春
公開:18/12/29 20:57

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