カウントダウン

　３
　除夜の鐘を撞く初詣客の行列の前で、実況を務める女子アナがカメラの前にスタンバイしている。彼女の夢は、一日も早く過酷な現場仕事から離れて、局内での仕事を担当できるようになることだ。

　２
　スクランブル交差点では今年も若者の馬鹿騒ぎ対策で路上が封鎖されている。毎年この警備にあたっている若い警察官は、自分も昔あの群衆の中にいたことを思い出している。

　１
　紅白を観終わって、初詣の準備をしている最中に子供がグズグズ言いはじめ、母親がついに怒りだしてしまう。父親はこのまま初詣が中止になれば良いと密かに思っている。

　０
　年越しソバのカップ麺が出来上がる。今年もまた一人、コタツの中で新年を迎えてしまった。
　カップ麺を啜っていると、遠くから除夜の鐘が聞こえてきた。
　
これはフィクションではない。