家族だから

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 私は、家族だから、娘だから、父の意思を、きちんと、伝えることが、父のためになると思った。
 父が、母に、ではなく、兄に、でもなく、娘の私に、この意思を託したのは、多分、私が父のことを、ずっと嫌いで居続けるに違いないと、父が信じ込んでいたからだと思う。母や、兄では、多分、父の意思を、きちんと伝えることができないと、考えていたからだと思う。
 私は、ずっと、離れて暮らしていて、今は、別の姓を名乗っているから、この、父の意思を伝えたら、私は、私の家族の元へ帰っていけばいい。
 だから父は、そんな私を信頼して、私に、父の意思を託してくれたのだ。

 私は医師に、父から受け取った『蘇生措置拒否及び延命拒否書類』を提出する。

 母と兄からは恨まれるかもしれないけれど、父の信頼を、私は、絶対に、裏切らない。私は娘だから。家族だから。

 さようなら。お父さん。さようなら。
その他
公開:18/12/30 08:03
更新:18/12/30 10:25

新出既出

星新一さんのようにかっちりと書く素養に乏しく、
川端康成さんの「掌の小説」のように書ければと思うので、
ショートショートとはズレているのかもしれないです。
オチ、どんでん返し、胸のすく結末。はありません。
400文字、おつきあいいただければ幸いです。

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