育ちが良いレントゲン

ある患者のレントゲン写真。

怪我もすっかり完治している。

それにも増して、ピシッと姿勢正しく写真写りが良い。

見ていて気持ち良い位。

ベテランの医者も思わず惚れ惚れする。

患者本人に見せた際に褒めた。

一流の家系だからレントゲンも手を抜かないのだと言う。

しかし、だんだんと患者は不服そうな態度になる。

このあばら骨の角度が気に入らない、鎖骨が平行じゃないとブツブツ呟きながら帰宅して行った。

数日後、同じ患者が再び病院に運び込まれた。

なんでも自ら道路に飛び出したらしい。

救急車で運ばれる際、今度こそは上手く写ると決意に満ち満ちた顔で周囲に語っていたのだそう。