オジサンは名探偵

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雨の音が静かな店内に響く夜のこと、閉店を迎えたというのに店へ入る女の子がひとりいた。


「こんばんは、相変わらず酷い面構えですね」
「それ、入って早々に言う言葉か?」


事実だけどさ、と小声で言いつつも彼女にホットミルクとメモを渡す。
これが僕達の合図だ。


「オジサン、依頼が来たんですね!?」


返事をする代わりに首を縦に振りながら、ボサボサの頭を掻くとフケが落ちた。不清潔だと言われる前に風呂に入り、身なりだけは整えておこう。


「依頼人は20代の男性、行方不明の飼い猫を探して欲しいみたいです」
「僕らは何でも屋じゃないんだけどなぁ…」
「いいじゃないですか、重たい腰をあげましょうよ」


彼女はセミロングの髪を纏め、今か今かと待っている。


「わかったよ、今行くから急かさないでくれ」


雨の匂いが残る夜の街で、たった1匹の猫を探しに3時間以上駆け回るのはまた別の話だ。
その他
公開:18/12/27 22:12

べね( 千葉 )

私の作品を読んで頂きありがとうございます。

趣味でショートショートを書いています。
だいたい即席で書いているので、手直しする事が多々あります。
多忙のため更新頻度はとても低いです、ごめんなさい。
星新一さんや田丸雅智さん、堀真潮さんの作品に影響を受け、現実感のある非現実的な作品を書くのが好きです。
最後の1文字までお楽しみください。

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