春一番が吹く頃に

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春一番が吹く頃に。

猫は願います。家族が欲しいと。
神様は叶えます。家族の種を猫に授けて。

猫は育てます。
種は芽吹きます。
猫は育てます。
芽はすくすくと。
猫は水やります。
葉が広がります。

台風が来た。

猫は守ります。
茎が曲がります。
猫は添え木します。

雁渡しの風が吹く頃に。

蕾が付きます。
猫はワクワク。
花が咲きます。
猫は喜びます。
花が香ります。
猫はウットリします。
花が風に揺れます。
猫はくるくると踊ります。

寒空が吹雪く頃に。

花が散ります。
猫は泣きます。
花が枯れます。
猫は悲嘆に暮れます。

でも…

種が実りました。ただ一つ。

神様が訊ねます。もういいのか?と
猫は答えます。ミャーと。

そして猫は天へと昇ります。

春一番が吹く頃に。

その種はまた誰かの元へ…
ファンタジー
公開:18/12/28 13:03
更新:18/12/28 16:47

Kato( 愛知県 )

ヘルシェイク矢野のことを考えてたりします
でも生粋の秦佐和子さん推しです

名作絵画ショートショートコンテスト
「探し物は北オーストリアのどこかに…」入選

働きたい会社ショートショートコンテスト
「チェアー効果」入選

ありがとうございます

 

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