ネガティブキャンペーン

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博士は責任を感じていた。元はと言えば自分の研究で「ゾンビ」と呼ばれる人々が蔓延したのだ。ゾンビと呼ばれた人々は迫害され、この「ゾンビ区」に隔離された。
ゾンビ病の蔓延を防ぐため国をあげてゾンビ病に対するネガティブキャンペーンが行われた。ゾンビに噛まれた者はゾンビになるという根も葉もないものだった。

腐り行く肉体を抱えた緩慢な動きの患者にキャンペーン動画のような機動力や体力があるはずもない。だがそれが砦となってゾンビ病の人間に危害を加える人間は激減。
しかし、最近になって一部の若者の間でゾンビ狩りなるものが流行った。

そこで博士は若者にだけ聞こえる特殊なラジオ波を照射し、彼らの侵入を阻止した。だがそれにも関わらず、耳栓をしてまで侵入してくる者については罰を与えることにした。侵入者を骨抜きにし、皮を砦の周りに吊るして見せしめにした。皮肉にも国策のネガキャンはこんな形で実現してしまったのだ。
ホラー
公開:18/12/25 13:01

よもつひらさか( 山の中の森 )

短編小説を主に書いています。
収録作品
「五分後に驚愕のどんでん返し」ー記憶喪失ー(河出書房新社)
「ためしに怪談聞いたら、やっぱり幽霊いるし怖すぎた。」ー探し物ー(竹書房)
「千人怪談」-さよちゃん-見られている-(二作品) (竹書房)
「5分後に緊迫のラスト」-マリッジブルー(河出書房新社)
書店、Amazonにて発売中
「エブリスタ」投稿しています。
第10回ノベリスタ大賞 最優秀賞受賞「ヤマモトヒロシ」
「怖話」にて怖い話を投稿しています。
 

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