159. 大吉

近所にたこ焼き屋が開店した。店名は大吉。
店主が知り合いの魚屋からたこを生きたままの状態で仕入れる為新鮮で、粒も大きく美味いので途端に繁盛した。
最初の頃は週に一度定休日を設けていたが、客が殺到するので定休日を廃止して売るようになった。
しかし定休日を廃止したことに不満をつのらせたレジ袋とたこ焼きがある日、ストを起こした。
両者は連れだって大海へ逃げた。たこ焼きは海の生き物の餌となることで許されたが、問題はレジ袋だった。レジ袋は環境汚染の原因となる。
国をあげてレジ袋は数日後、無事に全て回収されたが、それを店内のTVで観ていた新入りのレジ袋たちが、膨らんだり破れたり、くしゃくしゃに丸まって悲しんだ。
何より一番悲しんだのは実はたこだった。
水槽の中から自分達の未来を知ることとなり、絶望して墨を店主にぶちまけた。

その墨が看板へ飛んだこの店は後日潰れ、『犬吉』というペットショップとなった。