思い出話を聞いてくれ
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私の命は残り数分で尽きる。齢17で死ぬという何とも悲劇的な生涯だ。そうだ。少しでいい、私の思い出話を聞いてくれ。
幼い日の私の記憶の中に父の姿はない。母は若いながらに私を女手一つで育ててくれた。私はそんな優しい母が大好きだった。何年か経って、母は父を連れてきた。独り身の母にようやくいい人が出来たのだ。祝福するべきだったが……何分、私は幼すぎた。まぁその言葉だけで納められるとは思ってはいないが……思春期、だったのだろう。私は父を激しく拒絶した。父はそれでも笑ってくれた。そのうち妹が生まれ四人家族になり、その何年か後に私の病気が発覚した。なんて切ない話だ。こんな短い一生じゃ家族に礼一つ言うことも叶わない。あぁ、まだまだ話したりないというのに。残念だがそろそろ時間のようだ。聞いてくれてありがとう。せめて最後に、私自身の声で母にお礼を伝えることにするよ。
「にゃあん」
幼い日の私の記憶の中に父の姿はない。母は若いながらに私を女手一つで育ててくれた。私はそんな優しい母が大好きだった。何年か経って、母は父を連れてきた。独り身の母にようやくいい人が出来たのだ。祝福するべきだったが……何分、私は幼すぎた。まぁその言葉だけで納められるとは思ってはいないが……思春期、だったのだろう。私は父を激しく拒絶した。父はそれでも笑ってくれた。そのうち妹が生まれ四人家族になり、その何年か後に私の病気が発覚した。なんて切ない話だ。こんな短い一生じゃ家族に礼一つ言うことも叶わない。あぁ、まだまだ話したりないというのに。残念だがそろそろ時間のようだ。聞いてくれてありがとう。せめて最後に、私自身の声で母にお礼を伝えることにするよ。
「にゃあん」
その他
公開:18/12/26 01:47
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