世界一幸せなトナカイ

昔々あるところにトナカイのルドルフがいた。彼には、少し変わったところがあった。『真っ赤な鼻』
彼はその鼻のせいで小さな頃から、友達にも、親にもいじめられていた。そんな彼にも苦労が報われる瞬間が来た。サンタクロースにソリの引き手としてスカウトされたのだ。喜んだ彼は、その仕事を引き受けた。そして24日、大空へと旅立った。
先頭への配属だったルドルフは、凍るような上空の風をじかに受けた。そんな寒さに耐えながら、彼は歌い、自分を勇気づけながら空を駆け抜けた。
「真っ赤なお花のトナカイさんは......」
仕事を終えて帰ると、彼は疲労のあまり大きな音を立てて倒れた。そんな彼を見下ろした他のトナカイは、口々にこう言った。
「あー今年の先頭、新入り？今まで先頭だった奴が寒さに耐えて帰ってきたことなんて一度もないのにな！」
誰もが哀れみの目で彼を見た。そのせいで、幸せそうな彼の顔には誰も気がつかなかった。