こけしのハナコさん

15
20

 こけしの頭で肩を叩いていた。
「あ、蚊」
 おもわず握っていたこけしでちゃぶ台を殴ると、こけしの頭が折れて飛んでいった。
「きゃあああ」
 こけしの頭が悲鳴を上げて床を転がる。
「え、だいじょぶですか?」
「もう、ご主人様ったら。乱暴なんですから」
「しゃべる……。今直しますから」
「ご主人様」
「はい」
「今のわたくしは、頭と胴の二つに分かれてしまいましたが、心というものはどちらにあるのでしょう。もしもわたくしが恋をしたとき、どちらがときめきますか?」
「ないよ。こけしに心なんか。あったらホラーでしょ」
「そんな心ないことおっしゃって。こけしかっ」
「あ、あった接着剤。これどっちが前でどっちが背中だっけ?」
 円柱形の胴を眺めながら、頭に聞いた。
「セクハラです」
 どっちでもいいや、と思って拾い上げた頭は、赤い血の涙を流していた。私はとつぜん首の辺りを掻きむしりたい衝動に駆られて──
ホラー
公開:18/12/23 19:59

10101298

書き手さま読み手さま、私の名前が読めない皆さま、交流大歓迎ですっ。
Twitter: https://twitter.com/1o1o1298

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容