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こけしの頭で肩を叩いていた。
「あ、蚊」
おもわず握っていたこけしでちゃぶ台を殴ると、こけしの頭が折れて飛んでいった。
「きゃあああ」
こけしの頭が悲鳴を上げて床を転がる。
「え、だいじょぶですか?」
「もう、ご主人様ったら。乱暴なんですから」
「しゃべる……。今直しますから」
「ご主人様」
「はい」
「今のわたくしは、頭と胴の二つに分かれてしまいましたが、心というものはどちらにあるのでしょう。もしもわたくしが恋をしたとき、どちらがときめきますか?」
「ないよ。こけしに心なんか。あったらホラーでしょ」
「そんな心ないことおっしゃって。こけしかっ」
「あ、あった接着剤。これどっちが前でどっちが背中だっけ?」
円柱形の胴を眺めながら、頭に聞いた。
「セクハラです」
どっちでもいいや、と思って拾い上げた頭は、赤い血の涙を流していた。私はとつぜん首の辺りを掻きむしりたい衝動に駆られて──
「あ、蚊」
おもわず握っていたこけしでちゃぶ台を殴ると、こけしの頭が折れて飛んでいった。
「きゃあああ」
こけしの頭が悲鳴を上げて床を転がる。
「え、だいじょぶですか?」
「もう、ご主人様ったら。乱暴なんですから」
「しゃべる……。今直しますから」
「ご主人様」
「はい」
「今のわたくしは、頭と胴の二つに分かれてしまいましたが、心というものはどちらにあるのでしょう。もしもわたくしが恋をしたとき、どちらがときめきますか?」
「ないよ。こけしに心なんか。あったらホラーでしょ」
「そんな心ないことおっしゃって。こけしかっ」
「あ、あった接着剤。これどっちが前でどっちが背中だっけ?」
円柱形の胴を眺めながら、頭に聞いた。
「セクハラです」
どっちでもいいや、と思って拾い上げた頭は、赤い血の涙を流していた。私はとつぜん首の辺りを掻きむしりたい衝動に駆られて──
ホラー
公開:18/12/23 19:59
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