刺激が欲しい

つまらない人生に刺激が欲しい。
そう言うと友人が丸い小瓶を出してきた。何だこれ？
「七味さ。刺激が欲しけりゃこいつを７回に分けて使いな」
早速使ってみた。七味。なんて事のない普通の薬味だ。
ん？ラベルの文字が六味に変わっている。もう一度使ってみた。
なんと味がない。無味だ。俺の舌はバカになってしまったのか？
ラベルの文字が五味に変わっていた。さらに使う。
俺の人生がゴミのように感じてきた。
四味。使ってみる。
黄泉の世界からお迎えがやってきた。小瓶を持って俺は死神についていく。
三味。使う。
閻魔からまだ酸いも甘いも知らぬその人生、少しは酸味を味わえと怒られた。
二味。使用。
俺の罪が読み上げられる。
一味。食べる。
生まれ変わった俺の瞳が新たなものを映し出す。
０味。空っぽ。
丸みを帯びた体に生まれ変わった俺に何かが詰め込まれる。
つまらない人生に刺激が欲しいという男に俺が差し出された。