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クリスマスイヴの夜、バスは降雪で遅れていた。団地前行きのバスを待つサラリーマンたちの行列は、どんどん伸びていった。みんな、似たようなコートを着て、似たような鞄を持ち、同じ紙箱を片手に下げて、ソワソワしていた。箱の中には一羽ずつ、七面鳥が眠っている。
「お宅まではどれくらいですか?」
サラリーマンたちは、七面鳥カウンターで、団地前のバス亭への到着時間から逆算して、必要なだけの睡眠剤を入れてもらっていた。七面鳥用とはいえ、睡眠剤なので余分に受け取ることはできない。だが、途中で七面鳥が目を覚ましてしまうことだけは、絶対に避けたかったのだが…
行列の前方から悲鳴と怒号があがった。行列に緊張が走る。
箱が激しく揺れ、中から、つんざくような鳴声が上がる。行列はパニックになる。覚醒した七面鳥たちが箱を蹴破り、鋭い爪と嘴を、逃げ惑うサラリーマンたちに突き立てる。
降りしきる雪。バスはまだ来ない。
「お宅まではどれくらいですか?」
サラリーマンたちは、七面鳥カウンターで、団地前のバス亭への到着時間から逆算して、必要なだけの睡眠剤を入れてもらっていた。七面鳥用とはいえ、睡眠剤なので余分に受け取ることはできない。だが、途中で七面鳥が目を覚ましてしまうことだけは、絶対に避けたかったのだが…
行列の前方から悲鳴と怒号があがった。行列に緊張が走る。
箱が激しく揺れ、中から、つんざくような鳴声が上がる。行列はパニックになる。覚醒した七面鳥たちが箱を蹴破り、鋭い爪と嘴を、逃げ惑うサラリーマンたちに突き立てる。
降りしきる雪。バスはまだ来ない。
その他
公開:18/12/24 14:19
星新一さんのようにかっちりと書く素養に乏しく、
川端康成さんの「掌の小説」のように書ければと思うので、
ショートショートとはズレているのかもしれないです。
オチ、どんでん返し、胸のすく結末。はありません。
400文字、おつきあいいただければ幸いです。
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