屋根に挟む棘

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幼き妹と空を見上げていた。無数の屋根が、ふわふわ浮いている。
その中にひとつ、棘の刺さった屋根が、ふらふら漂っていた。
それは迷子で彷徨う子どものように。俺の体は無意識に、その屋根の影を追っていた。

我に返った時には妹の姿を見失っていた。屋根に意識を奪われ、置き去りにしてしまったのだ。
あたりを見回すが、自身の居場所さえわからない。どこだ、どこだ、どこだ。頭がぐるんぐるん回る。

ふと、妹の気配を感じた。屋根か。棘の刺さった屋根に、乗っている。
「いくなぁ!」
その叫びに棘が、すぽんと抜け落ちた。屋根が、崩れる。慌てて棘を拾う。もう一度刺せば……いや、挟もう。

しん、とした空気の中、頭に手の温もりを感じた。ひざまずいた俺の目の前に、妹が立っている。その顔が亡き母にそっくりで、俺は思わず抱きついた。

「やーね、この子ったら」

その懐かしい声音が、屋根から覗く太陽に照らされ降り注いだ。
ファンタジー
公開:18/12/22 21:00
更新:18/12/22 21:03
undoodnu祭 その影が追いたい

壬生乃サル

2019年(8/8~)
・のんびり55本ノック!
6/55 (9月12日現在)
2019年(~8/8)
・500まで(180本)ノック!完走。
2018年(5/13~12/31)
・壬生の(320本)ノック!完走。

壬生乃サル (みぶ の さる)
https://twitter.com/saru_of_32

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