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幼き妹と空を見上げていた。無数の屋根が、ふわふわ浮いている。
その中にひとつ、棘の刺さった屋根が、ふらふら漂っていた。
それは迷子で彷徨う子どものように。俺の体は無意識に、その屋根の影を追っていた。
我に返った時には妹の姿を見失っていた。屋根に意識を奪われ、置き去りにしてしまったのだ。
あたりを見回すが、自身の居場所さえわからない。どこだ、どこだ、どこだ。頭がぐるんぐるん回る。
ふと、妹の気配を感じた。屋根か。棘の刺さった屋根に、乗っている。
「いくなぁ!」
その叫びに棘が、すぽんと抜け落ちた。屋根が、崩れる。慌てて棘を拾う。もう一度刺せば……いや、挟もう。
しん、とした空気の中、頭に手の温もりを感じた。ひざまずいた俺の目の前に、妹が立っている。その顔が亡き母にそっくりで、俺は思わず抱きついた。
「やーね、この子ったら」
その懐かしい声音が、屋根から覗く太陽に照らされ降り注いだ。
その中にひとつ、棘の刺さった屋根が、ふらふら漂っていた。
それは迷子で彷徨う子どものように。俺の体は無意識に、その屋根の影を追っていた。
我に返った時には妹の姿を見失っていた。屋根に意識を奪われ、置き去りにしてしまったのだ。
あたりを見回すが、自身の居場所さえわからない。どこだ、どこだ、どこだ。頭がぐるんぐるん回る。
ふと、妹の気配を感じた。屋根か。棘の刺さった屋根に、乗っている。
「いくなぁ!」
その叫びに棘が、すぽんと抜け落ちた。屋根が、崩れる。慌てて棘を拾う。もう一度刺せば……いや、挟もう。
しん、とした空気の中、頭に手の温もりを感じた。ひざまずいた俺の目の前に、妹が立っている。その顔が亡き母にそっくりで、俺は思わず抱きついた。
「やーね、この子ったら」
その懐かしい声音が、屋根から覗く太陽に照らされ降り注いだ。
ファンタジー
公開:18/12/22 21:00
更新:18/12/22 21:03
更新:18/12/22 21:03
undoodnu祭
その影が追いたい
まったり。
2022年…3本
2021年…12本
2020年…63本
2019年…219本
2018年…320本 (5/13~)
壬生乃サル(MiBU NO SARU)
Twitter(@saru_of_32)
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