その月が添いたい

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夜空を見上げると満月が浮かんでいた。
ほろほろと、今にもこぼれ落ちそう。
ぼくの心が一瞬で奪われる。
艶やかに満たされていく。
この想い、届けたい。
内なるもうひとりのぼくが顔を出す。

「なら、貫けよ」

意識を半分支配し、奴が矢を放った。
月に矢が刺さる。
貫けては、いない。
その時、月が口を開いた。

「あたし、用なしね」

そんな……。
ぼくはまだ何もしていない。
ぼくにはきみが必要だ。
あの矢を抜かなければ。

とべ、とべ、とべ、とべ、とべ!

ぼくはとんだ。
手をのばす。
矢まであと少し。

とどけ、とどけ、とどけ、とどけ、とどけ!

ぼくの腕がほんの少し伸びた気がした。
やった!
あとは重力に身を任すだけ。
矢と共に。


夜空を見上げると満月が浮かんでいた。
もう用なしだなんて、言わせない。
ぼくを必要としてくれ。
きみの隣に要るよ。
いつでもそっと手を……。

その腰に。
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公開:18/12/22 14:10
更新:18/12/22 14:11
undoodnu祭 その影が追いたい

壬生乃サル

まったり。

2022年…3本
2021年…12本
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2019年…219本
2018年…320本 (5/13~)

壬生乃サル(MiBU NO SARU)
Twitter(@saru_of_32)

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