お姫様は赤ずきんちゃん

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座ったまま振り返る。目線やや上に、サンタの扮装。(に見えるのは、現在俺が裸眼だからだろう)
小さな手が握ったブルーと、反対側に、不釣り合いにごつい眼鏡。輪郭しか判別出来ず、目を顰めたら、サンタが首を竦めた。
「済みません、俺……!」
違う、睨んだわけじゃなくて。立ち上がった拍子、椅子に鞄が衝突して中身を撒いた。もはやサンタと言うか、狼に出くわした赤ずきん。今にも悲鳴上げて逃げそう。
「……狼」

自覚してる。無駄にでかい丈。狼みたいな強面。親父の血のせいで眼は青いし、声もやたらどすが利いてる。猫背の癖は、頭を打つという事情込み。
こんな反応が嫌で、極力顔が隠れる眼鏡にして、喋らない様に、目立たない様に、隅に隠れて生きてきた。
慎重に眼鏡を引き取って掛ける。
やっぱり探すんじゃなかった。膝を落として荷物を鞄に突っ込む。
「ハンカチ、済みません」
「ハンカチ、ありがとう」

――台詞、被った。
青春
公開:18/12/22 14:00
図書室のおとぎ話⑦

創樹( 富山 )

創樹(もとき)と申します。
葬祭系の生花事業部に勤務の傍ら、物書きもどきをしております。
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ベリーショートショートマガジン『ベリショーズ』
Light・Vol.6~Vol.13執筆&編集
他、note/monogatary/小説家になろう など投稿サイトに出没。

【直近の受賞歴】
第一回小鳥書房文学賞入賞 2022年6月作品集出版
愛媛新聞超ショートショートコンテスト2022 特別賞
第二回ひなた短編文学賞 双葉町長賞

いつも本当にありがとうございます!

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