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いつものようにショッピングセンターの広い駐車場を歩いていると、見慣れた姿の、見慣れない男と出くわした。
サファリ帽にメガネ。両手をトレンチコートのポケットに。黒靴下から脛をチラ見せし、黒い革靴。私と瓜二つのスタイルだ。我々は照れながら握手をして、ショッピングセンター内のカフェに入った。
「見かけない顔だね」
「はい。始めたばかりなので」
彼と打ち解けられると思っていた。だが、彼が座るとき、一瞬はだけたコートから剃毛された脛が顕わになったのを見て、「大同小異?」という言葉が頭をよぎった。
彼は、鍛え上げた筋肉を誇示するのが目的で、ビキニパンツを着用し、掛け声は「どう?」だという。
私は、ただ若い女性が驚く顔が見られればいい。もちろんブリーフなぞ履いておらず、掛け声は「な?」だった。
そんな彼の持ち物は、みんな、私のよりも上質だ。
それ以降、私には「敵愾心」しかなくなっていた。
サファリ帽にメガネ。両手をトレンチコートのポケットに。黒靴下から脛をチラ見せし、黒い革靴。私と瓜二つのスタイルだ。我々は照れながら握手をして、ショッピングセンター内のカフェに入った。
「見かけない顔だね」
「はい。始めたばかりなので」
彼と打ち解けられると思っていた。だが、彼が座るとき、一瞬はだけたコートから剃毛された脛が顕わになったのを見て、「大同小異?」という言葉が頭をよぎった。
彼は、鍛え上げた筋肉を誇示するのが目的で、ビキニパンツを着用し、掛け声は「どう?」だという。
私は、ただ若い女性が驚く顔が見られればいい。もちろんブリーフなぞ履いておらず、掛け声は「な?」だった。
そんな彼の持ち物は、みんな、私のよりも上質だ。
それ以降、私には「敵愾心」しかなくなっていた。
その他
公開:18/12/22 11:02
更新:19/05/28 11:41
更新:19/05/28 11:41
シリーズ「の男」
星新一さんのようにかっちりと書く素養に乏しく、
川端康成さんの「掌の小説」のように書ければと思うので、
ショートショートとはズレているのかもしれないです。
オチ、どんでん返し、胸のすく結末。はありません。
400文字、おつきあいいただければ幸いです。
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