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2年前、元関脇・尾出犬山は押し相撲で人気の力士だった。関脇に昇進後、すぐに初優勝し、大関昇進が期待された中で突然引退した。その後、結婚して奥さんと二人でちゃんこ屋を始めたらしい。
私と彼は学生時代の友人だった。久しぶりに会った彼は坊主頭になっていた。
「あの時、なんで引退を?」
「髪が残ってなくてさ」
「ハゲたら引退なんてルールはないだろ?」
「まあね。実はさ…」
「ん?」
「30過ぎても十両に上がれなくて引退も考えてた頃、夢の中に相撲の神様が現れてね。押し負けない力をやろう。その代わり、お前の髪の毛を頂くって」
「本当かよ」
「半信半疑だったけど、それから押し相撲に強くなった。押し出して勝つ度に何故か前髪が後退した。優勝した時にはもう限界だったよ」
「断髪式の時は、まだ髪は残ってたよな?」
彼はツルツルの頭を照れくさそうに撫でて、穏やかに微笑んだ。
「残りは女房を口説く時に使ったんだ」
私と彼は学生時代の友人だった。久しぶりに会った彼は坊主頭になっていた。
「あの時、なんで引退を?」
「髪が残ってなくてさ」
「ハゲたら引退なんてルールはないだろ?」
「まあね。実はさ…」
「ん?」
「30過ぎても十両に上がれなくて引退も考えてた頃、夢の中に相撲の神様が現れてね。押し負けない力をやろう。その代わり、お前の髪の毛を頂くって」
「本当かよ」
「半信半疑だったけど、それから押し相撲に強くなった。押し出して勝つ度に何故か前髪が後退した。優勝した時にはもう限界だったよ」
「断髪式の時は、まだ髪は残ってたよな?」
彼はツルツルの頭を照れくさそうに撫でて、穏やかに微笑んだ。
「残りは女房を口説く時に使ったんだ」
ファンタジー
公開:18/12/22 01:18
更新:19/07/07 18:39
更新:19/07/07 18:39
undoodnu祭り
その影が追いたい
押してダメなら押し倒せ
月の音色リスナーです。
ようやく300作に到達しました。ここまで続けられたのは、田丸先生と、大原さやかさんと、ここで出会えた皆さんのおかげです。月の文学館は通算24回採用。これからも楽しいお話を作っていきます。皆さんよろしくお願いします。
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