SoCo & Ginjer

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 店主はまるでグラスに魔法をかけるように、氷をくるくる回し始めた。ぴたっと止めたら水を捨てて、お酒を注ぐ。『Southern Comfort』、南の島の楽園みたいなお酒だろうか。それをジンジャーエールで割って、仕上げにライムを搾ってくれた。
「はい。ソコジンジャー」
 店主が魔法をかけたお酒は、夏休みの味がした。
 希望に満ちた空気を真っ向に受けて、路地裏を走り抜けた無敵の少年時代。少年に味わえるはずのない洗練されたお酒の味に、もう後には戻れないのだと思い知らされる。夏休みの幻影が、「お前は大人だ」と罵倒してくるようなお酒だった。
「夏休みの味がする」
「うん。ラムネの味するでしょ」
 グラスに口を付けるたび、魔法の氷に恋人の笑顔が映った。氷が解けるにつれて、夏休みの幻影も薄れていく。それを追いかけるように、残りを一気に飲み干した。グラスが空になると、心は愛で満ちた。
青春
公開:18/12/22 00:58
更新:21/01/23 00:02
undoodnu祭り その影が追いたい

10101298

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