ガラスフィルターの向こうに

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――嘘、本気で寝た!
猫背がぱたんと倒れ、(まず15分待機)本を指に挟んだまま、頭が沈む。(念の為、更に15分観察)それきり大人しくなる。
偶然ってあるのね。そろ~り近付く。私、まずい事してる?後ろめたさと怖いもの見たさ半々で覗き込む。

男の人って、いびきとか煩いイメージあったけど、案外静かね。ああそうだ、ハンカチ返してもらおう。幾ら自分のだって、黙って取るのは駄目だから、メモでも置いて。
眼鏡、また掛けっぱなし。本、指なんか栞にしたら、皺になっちゃう。
――カウンター、なぜか再び不在だし。
恐る恐る本から指をのけ、ハンカチ回収して、眼鏡外して。

閉館チャイムが響いた。
「……ん」
やだ、起きた!?二、三歩後ずさる。
恥ずかしくて逃げたい。掌で畳んだハンカチが潰れる。猫背が溜息吐き、鞄を腕に掛けて固まる。本が床に落ちる。頭が机の角に向いてる。

「あの……」
気付いたら、声掛けてた。
青春
公開:18/12/22 00:00
図書室のおとぎ話⑥

創樹( 富山 )

創樹(もとき)と申します。
前職は花屋。現在は葬祭系の生花事業部に勤務の傍ら、物書き(もどき)をしております。
小石 創樹(こいわ もとき)名にて、AmazonでKindle書籍を出版中。ご興味をお持ちの方、よろしければ覗いてやって下さい。
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ベリーショートショートマガジン『ベリショーズ』
Light・Vol.6~Vol.12執筆参加
他、note/monogatary/小説家になろう など投稿サイトに出没。

【直近の受賞歴】
第一回小鳥書房文学賞入賞。2022年6月アンソロジー出版
愛媛新聞超ショートショートコンテスト2022 特別賞受賞

いつも本当にありがとうございます!

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