大家族
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「猪だ!でっかい猪をしとめたぞ!」
遠くから聞こえた父さんの声に、子供達が歓声を上げて走り出す。棒にぶら下げた大きな猪を、わっせわっせと男衆が担いでくる。
「まあ、なんてみごとな!」
女達はいそいそと家を飛び出した。
「ほら、これは俺が捕まえたんだぞ」
自慢げに兎を差し出す長兄の太い腕に、末の弟が飛びついた。
「いいなあ、兄さん。今度は俺も狩りに連れてってよ」
「まだまだ、お前は妹達と貝拾いだ」
「えー、そんなのつまんないよ」
すると婆さまが歌うようにみんなを誘った。
「ほーれほれ、木の実の粥だよ。泥を落として中へお入り。お疲れじゃろう、温まりなされ」
「―――パパ、これなあに?」
その声で、私は夢から覚めた。
男の子が、ガラス越しに私をのぞき込んでいる。
「縄文土器だよ。大昔の鍋だな」
そうさね。ちょうど今、昔の夢を見ていたところさ。あの末っ子はね、坊や、ちょっとお前に似ていたよ。
遠くから聞こえた父さんの声に、子供達が歓声を上げて走り出す。棒にぶら下げた大きな猪を、わっせわっせと男衆が担いでくる。
「まあ、なんてみごとな!」
女達はいそいそと家を飛び出した。
「ほら、これは俺が捕まえたんだぞ」
自慢げに兎を差し出す長兄の太い腕に、末の弟が飛びついた。
「いいなあ、兄さん。今度は俺も狩りに連れてってよ」
「まだまだ、お前は妹達と貝拾いだ」
「えー、そんなのつまんないよ」
すると婆さまが歌うようにみんなを誘った。
「ほーれほれ、木の実の粥だよ。泥を落として中へお入り。お疲れじゃろう、温まりなされ」
「―――パパ、これなあに?」
その声で、私は夢から覚めた。
男の子が、ガラス越しに私をのぞき込んでいる。
「縄文土器だよ。大昔の鍋だな」
そうさね。ちょうど今、昔の夢を見ていたところさ。あの末っ子はね、坊や、ちょっとお前に似ていたよ。
ファンタジー
公開:18/12/23 16:42
更新:18/12/27 10:25
更新:18/12/27 10:25
家族
コーヒーと本屋さんが好きです。
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