その本が知りたい
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クリスマスイブの夕方。僕は電車を待っていた。ホームにいる人たちは、みんな下を向いてスマホを見ている。いつもの光景。
でも普段は無表情なみんなの顔が、何か違う。
にやにやしたり、顔を赤らめたり。一体、何を見てるんだろう。クリスマスイブだから?そんな浮かれた奴がこんなにいるのか?
ホームの端っこに、同じ学校のちょっと気になる女子を見つけた。やっぱりスマホを見て、少し顔が綻んでる。何を見てるんだろう。気になる。
「何見てるの?」
話しかけると少し驚いた顔で僕を見上げる。
「電子書籍」
「なんだ~本かよ」
「ふ~ん、本読まないんだ。これ面白いよ」
「なんていうタイトル?」
「『その影が追いたい』。ね、安藤くん、手を出して」
僕が手を出すと、いきなり彼女は自分の手を重ねてきた。
「え?な、何?」
「これを読めばわかるよー」
とにやっと笑う。
なんだかよくわからないが、僕は初めて電子書籍を購入した。
でも普段は無表情なみんなの顔が、何か違う。
にやにやしたり、顔を赤らめたり。一体、何を見てるんだろう。クリスマスイブだから?そんな浮かれた奴がこんなにいるのか?
ホームの端っこに、同じ学校のちょっと気になる女子を見つけた。やっぱりスマホを見て、少し顔が綻んでる。何を見てるんだろう。気になる。
「何見てるの?」
話しかけると少し驚いた顔で僕を見上げる。
「電子書籍」
「なんだ~本かよ」
「ふ~ん、本読まないんだ。これ面白いよ」
「なんていうタイトル?」
「『その影が追いたい』。ね、安藤くん、手を出して」
僕が手を出すと、いきなり彼女は自分の手を重ねてきた。
「え?な、何?」
「これを読めばわかるよー」
とにやっと笑う。
なんだかよくわからないが、僕は初めて電子書籍を購入した。
青春
公開:18/12/23 15:01
その影が追いたい
undoodnu祭
人間界で書いたり読んだりしてる骸骨。白むうと黒むうがいます。読書、音楽、舞台、昆虫が好き。松尾スズキと大人計画を愛する。ショートショートマガジン『ベリショーズ 』編集。そるとばたあ@ことば遊びのマネージャー。
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