地図が意味するもの

2
5

アフリカの大草原の風が一枚の地図を運んできた。集団の輪の中でひとりぼっちで空を眺めていた子ライオンの顔に張り付いた。
地図の真ん中にある「×」印に僕は心奪われた。僕はお父さんに言った。「この×印の場所へ行きたい」。お父さんは地図を覗きこみ「お前には無理だ」と一言だけ言って木陰で昼寝を始めた。行きたい、行かなきゃいけない、そんな願望にかられる。僕は地図をずっと見ていた。僕はある事に気づく。一度だけ行った事のある場所。それは寒さで食べ物が全く取れなくなり集団で移動した場所。その場所へ行くまで僕はお母さんにピッタリくっついて歩いた。雨に打たれ風に吹かれ寒くて辛かったけど、お母さんの身体は暖かかった。あの寒さのせいでお母さんは天国へ行ってしまった。
「お母さんに会いたい!」
僕はひとりで食べ物を取ったことなんかない。でも、お母さんに会いたい。僕は静かに集団を離れ、地図にある×印を目指し旅に出た。
その他
公開:18/12/23 08:33

まりたま

いつか絵本を1冊出せたら...
そう思いながら書いてます。
少しだけホッコリしていただければ嬉しいです。
でも、たまにブラックも書きますけど。

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容