プリズム

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私に残された時間は24時間のみ。
特に予定もなく、いつも通りの朝を迎える。


残り20時間。暇つぶしに街を歩く。
途中、小店でプリズムを買った。
光を吸い込み七色に輝くそれは、角度を変えると新しい色を見せてくれた。

残り15時間。帰宅し、夕食を考えながらテレビを見る。
ここ数日、テレビは同じ事しか伝えてくれない。新聞も、ネットも、何もかも。
逃げるように私は再び外へ出る。

残り8時間、見慣れぬ土地で寝転び星を眺める。今日は地球最後の夜、平和な夜もこれで最後だ。
夜空に輝く星を見ながら、私はゆっくりと目を閉じる。

残り30分、東の空から太陽が登る。そして西の空からは光り輝く彗星が目前に迫っていた。


彗星が地球に衝突、世界の終焉が訪れる…そんな報せを聞いたのは1週間前、あの時は嘘だと信じていたが、今こうして私の目の前で彗星が輝いている。
その光を浴びたプリズムは赤く燃えていた。
その他
公開:18/12/22 18:47
更新:18/12/23 14:47

べね( 千葉 )

私の作品を読んで頂きありがとうございます。

趣味でショートショートを書いています。
だいたい即席で書いているので、手直しする事が多々あります。
多忙のため更新頻度はとても低いです、ごめんなさい。
星新一さんや田丸雅智さん、堀真潮さんの作品に影響を受け、現実感のある非現実的な作品を書くのが好きです。
最後の1文字までお楽しみください。

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