ハンカチ落としと灰かぶり

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何か、困った事になったかも。
本の虫の情報、こっそりカウンターに訊いて、一緒の学部って判った。あの雪の日も、同じ講義を取ってて。つまり意識してなかったけど、(大抵背中だから)顔は何回も合わせてるはず。
もちろん、ハンカチはいいの。高い物じゃないし、捨てたつもりだったし。でも、もし向こうが普通に知ってて、こっちがスルーって。
失礼だったりするかな?

だけど。恩着せがましい女みたく思われるのも、嫌じゃない?たかがハンカチ一枚、流せよって、私なら思う。
なのに、――どうして彼、あのハンカチ、律儀に机に置いてるの!?
こんな所でサボってないで、講義棟に来てくれれば、挨拶がてら引き取れるのに。(現在ここにいる私も、人の事言えないけど)
ううん、考え過ぎ。寝てたんだし、顔見知りでも、私って判るわけない。
そう言えば彼、どんな顔してた?眼鏡以外、記憶がグレーゾーン。

――いっそ、また寝てくれたらな。
青春
公開:18/12/20 21:00
図書室のおとぎ話④

創樹( 富山 )

創樹(もとき)と申します。
葬祭系の生花事業部に勤務の傍ら、物書きもどきをしております。
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ベリーショートショートマガジン『ベリショーズ』
Light・Vol.6~Vol.13執筆&編集
他、note/monogatary/小説家になろう など投稿サイトに出没。

【直近の受賞歴】
第一回小鳥書房文学賞入賞 2022年6月作品集出版
愛媛新聞超ショートショートコンテスト2022 特別賞
第二回ひなた短編文学賞 双葉町長賞

いつも本当にありがとうございます!

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