対岸の俺

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「おーい」
俺は対岸の俺に向かって叫んだ。
対岸の俺は、ニッコリと笑って手を振って返してくれた。
これだ。かわいい。
俺はいつもかわいい。

今度は指笛をピューッと鳴らす。
対岸の俺は、手を叩いて喜んでくれた。
よし。
今日は良い日になるぞ。

対岸の俺が、ジェスチャーで何かを伝えようとしている。
分からない。
背中を冷や汗が伝う。
対岸の俺は、少しゆっくりとジェスチャーをしてくれた。

パン・ツー・マル・ミエ?
そんな馬鹿な。
俺はスカートの下にはキュロットを履いている。
パンツが丸見えになることはない。
どういうことなんだ。

背中を伝う汗は粒が大きくなり、身体を冷やす。
心臓の鼓動は激しさを増し、落ち着きを失わせる。
耳鳴りも始まった。

分からない。
俺が分からない。
俺なのに、分からない。

「誰?」
囁く声が聞こえた。
ホラー
公開:18/12/20 18:57
その影が追いたい undoodnu祭り

undoodnu( カントー地方 )

構成の凝った作品が好きです。
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