その影がオニだい

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安藤くんがウロウロしている。
「安藤くん、どうしたの?」
「探してるんだ」
「探しもの?一緒に探そうか?」
「影が」
安藤くんの影がなかった。
「最近影が、夜の闇に紛れて遊び歩くようになって、今朝は戻ってこなかったんだ」
そんなことがあるのだろうか?その時安藤くんが「あっ!」と声をあげて走り出した。安藤くんの形をした影が走ってる。安藤くんが影を追いかけて、影が逃げた。鬼ごっこみたいだ。
しばらく走り回ってやっと影を捕まえた。
「君が追いたいと言うから、鬼ごっこしてあげたんだよ」
影が喋った。あれ?何だか様子がおかしい。いつのまにか、安藤くんは黒い影になり、影が安藤くんになっている。
「ーーー!」
影になった安藤くんの声は聞こえない。
「次は僕が追う番」
影の安藤くんが走った。安藤くんになった影が追う。鬼ごっこは終わらない。

「あっ」
私の影が安藤くんを追って走り出す。私はその影を追った。
その他
公開:18/12/20 11:01
undoodnu祭 その影が追いたい

むう( 地獄 )

人間界で書いたり読んだりしてる骸骨。白むうと黒むうがいます。読書、音楽、舞台、昆虫が好き。松尾スズキと大人計画を愛する。ショートショートマガジン『ベリショーズ 』編集。そるとばたあ@ことば遊びのマネージャー。

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