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僕がその影を見つけたのは、小学四年生の頃だった。
学校の帰り道。いつもは通らない道を歩いていた時。
明らかに他の場所とは雰囲気が異なる庭園が、進行方向の左側に現れた。

好奇心を抑えられず、中に忍び込んだ。
息を呑む。
庭の中は一面、透き通った花弁と芳香で満ち溢れていた。
今にも消えてしまいそうなほど儚く、美しい。

当時の僕にもその素晴らしさは、一目見ただけで分かった。

時間が経つのはあっという間だった。
いつの間にか空は、夕焼けのオレンジに染まっていた。
その時だった。
夕日が庭園に差し込んできた。
庭園の花弁に光が反射すると、その影が七色の光を纏って万華鏡のように移り変わる。

それから僕は、その庭園に現れる影のことを園影(そのかげ)と呼んで時折見に行くようになった。

僕は今でもその影にずっと、取り憑かれたままでいる。
ファンタジー
公開:18/12/21 23:10
undoodnu祭 その影が追いたい

たけなが


たくさん物語が作れるよう、精進します。
よろしくお願いします!

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