大人はサンタの夢を見るか?

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「なぁ、サンタさんにどんなプレゼントを頼んだ?」


温かく揺れる炎の光を見ながら、隣に座っている彼は僕に聞いてきた。
サンタがいるとでも思っているのか?なんて言うのはマナー違反だろう。
今欲しいもの、それならこれしかないな。


「花火か戦車、威力があって丈夫なものがいいな」


あまりにも真面目に言いすぎたものだから、彼は硬い表情を緩め、相変わらずだな、と言わんばかりに笑いながら僕を見てきた。


「ははっ、キミらしいな。
…じゃあ、そろそろ行こうか」
「ああ。今日こそ勝たなきゃならないからな…サンタが来るよりも早く、家に帰るんだ」


ガチャり、と重たい銃を抱え直し、雪の代わりに灰が降る戦場で、僕らは地面に足跡をつけた。
その他
公開:18/12/21 21:15

べね( 千葉 )

私の作品を読んで頂きありがとうございます。

趣味でショートショートを書いています。
だいたい即席で書いているので、手直しする事が多々あります。
多忙のため更新頻度はとても低いです、ごめんなさい。
星新一さんや田丸雅智さん、堀真潮さんの作品に影響を受け、現実感のある非現実的な作品を書くのが好きです。
最後の1文字までお楽しみください。

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