頭が良くなるガム

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今朝、第一志望の大学から不合格通知が届いた。

我が家は母子家庭。私立大学にはとてもじゃないが進学はできない。一年間浪人して、来年もう一度受験することに決めた。

4月の深夜。テレビに映った通販番組のテロップに目を奪われる。

「頭の良くなるガム、限定100ケース販売!!」

当時の僕にはこれ以上ないほど魅力的な商品だった。考えるよりも先に、手がテレビ画面に映る番号をプッシュしていた。

翌日届いたガムの効果は、驚くべきものだった。苦手だった英単語の暗記も、いつもの倍ぐらいのスピードで進んでいった。もともと得意だった数学は全国模試で全国のトップテンに入った。

そして、今日は試験当日。試験会場にいるはずの僕は、成田空港のロビーにいる。ガムで才能が開花し、レベルの低い日本の大学で学ぶのがバカらしくなったのだ。短期バイトで稼いだお金で買った片道航空券を握りしめ、ゆっくりと搭乗ゲートに向かった。
青春
公開:18/12/21 20:45

すちふくろう( 茨城 )

茨城で小説書いてます!

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