死屍累々

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少年は机の下で三角座りをし、固く口を結び、息一つせず、漆黒の中の惨劇が終わるのをじっと待っていた。
漆黒の中では理性を失った狂気が次々と人々を惨殺し、飛び散った赤血球を踏みにじっては、吸血鬼のようにまた新たな血を求めて、凶行に及んだ。
床の上には、死体が霏々のように積み上げられた。
その光景は、人間の残骸の埋立地であった。
あんなにも楽しげに毎日を過ごしていた人間が、一瞬の災難で、身体を刃でズタズタに切り裂かれ、臓器は抉り取られ、見るも無惨な姿に変わるのであった。
一人の凶行ならまだしも、同じ感情を持った動物が何千、何万人といるのだから、そのきちがいじみた行為から逃れるのは不可能であった。
黒い影は机の下からひっそりと覗かせる少年のつま先を発見し、少年を机の下から引きずり出した。
少年は最後の力を振り絞りこう言った。
「僕はこんな大人になりたかったのかな」
ホラー
公開:18/12/20 23:27

神代博志( グスク )









 

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