妹が自動販売機なんですが

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 山河は高校生だ。通学前に家族と朝食を食べている。メニューはご飯に味噌汁にめざしと漬け物。それだけならば普通の家族なのだが、ありえないことが一つある。
 ちゃぶ台の前にジュースの自動販売機座っていることだ。何故妹が販売機……
「お母さん……なんで妹が自動販売機だったの?」
「あんたが妹が欲しいっていったんじゃない」
「いや。人間の妹を期待してた」
「そんなこといっても、ちゃんとわたしのお腹から産まれたのよ」
「どうやったら産まれるの?」
「もうその話はやめなさい」
 父親は言う。
「お兄ちゃんコーヒー飲む?」
「うん」
「130円いれて」
 妹にお金をいれてボタン押すと、ガランと音がし、取り出し口にコーヒーの缶が落ちてくる。
 便利な妹だ。中学生になる。
 通学の時間になる。学校までは、途中まで妹と一緒になる。山河は思う。家族とは慣れじゃないかと。人間は自動販売機とだって家族になれる。
その他
公開:18/12/18 23:35
更新:18/12/19 12:23

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