そこの毛 どこの毛

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「ギャッ!?」
朝目覚めると、全身の毛が抜けていた。
頭の毛だけではない。
眉毛、睫毛、鼻毛、髭、すね毛、そして神聖な庭では決して大声では言えぬ部位のお毛々も⋯⋯すっかり、全部抜け落ちていたのだ。
「なぜこんな事態に?」

俺は帽子とサングラスを着け、慌てて病院に駆け込んだ。
「こりゃ見事に毛根が死んどるネ」
「先生どうにかしてください!」
「そうじゃのう。申請中の新薬があるんじゃが、被験者になってみるかナ?」
医者によるとまだ実験段階の薬なので、うまく毛の生える保証はないという。
だが俺は、その新薬にすがり付いた。

そして数ヶ月後、胸毛だけが大量に生えてきた。
「アハハ、先生こりゃ一体どういう事です?」
そして俺は、最近笑ってばかりいた。
「うーん。これは思わぬ所から毛が生えましたなぁ」
「ウハハハ、と言いますと?」
医者はレントゲン写真を見ながら言った。
「心臓から毛が生えとる⋯⋯」
ミステリー・推理
公開:18/12/18 22:17
更新:18/12/18 22:40
毛祭り

渋谷獏( 東京 )

(੭∴ω∴)੭ 渋谷獏(しぶたに・ばく)と申します。 小説・漫画・写真・画集などを制作し、Amazonで電子書籍として販売しています。ショートショートマガジン『ベリショーズ』の編集とデザイン担当。
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