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ウチは貧乏で携帯電話を買う余裕がなかった。でも不便に感じたことは一度もない。だってウチには糸電話があるから。
紙コップと糸で出来た簡単な玩具。
そんなものが携帯の代わりになるわけないって?いやいや、糸電話をバカにしちゃいけないよ。
ウチの糸電話は少し変わっていてね。まず自分の小指に糸を巻き付ける。
紙コップに話しかける。「今帰るから」
紙コップを耳に当てる。『わかった。気を付けてね』
なんと電話の代わりになるのだ。これは絆で繋がっている相手、主に家族にしか使えない。

大学の講義が終わり、糸電話で家に連絡する。
すると前に座っていた女性が驚き、僕を振り向いた。彼女も小指に糸が巻き付いた糸電話を手にしていた。
どうやら混線して僕の通話が彼女の糸電話に入ってしまったようだ。こんなことは初めてだ。
驚く僕らの小指の糸がするすると延びる。糸は赤くなって結ばれた。
僕は、私は、運命の人と出会った。
公開:18/12/18 18:55

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