海文豪

場所は海底付近の黄金珊瑚。うお膳の晩餐を摘みつつ、海文豪達の交流会が開かれた。
例えば、イルカは軽い懐古譚。タコ、イカが８点だ１０点だと補足する（恐らく彼ら流のお墨付きだ）隣りで、クールなフカは、カフカの『変身』を冷めた論調で噛み砕き、ワイの贔屓はワイルドかいの～と、貝は如何にも酔漢らしいオープンスタイル。
めらめら閃いた鯛が、縁起良さげな連続シャレをひねれば、フグがぐふふと太鼓腹を揺らして川柳を返す。腰の曲がった海老は鼻炎声で（※海老に鼻があるかなんて、野暮はぼやかない）古典詩を吟じ、横から蟹が似通った狂歌をはさみ、どちらが昆布文庫の覇者に相応しいかという、分別のない突っ張り合い。
遅れた亀から万年筆の随筆が届く。ヒトデが『ヒットです』と星を贈り、ウニが入念にトゲを出し、（犬猿ならぬ星雲の仲）ナマコ『マナー違反』の文句で会場は大炎上！
晩餐交流会は散々で解散、参加者の海文豪達は散海した。