はちあわせイブ

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それはSY、聖なる夜のこと。
粉雪が舞う都心のマンションのベランダで、男はガラス戸を破ろうとしていた。
「おい」
突然の声に男は飛び上がるほど驚いて、辺りを見回すが人の姿はない。気のせいか。今度こそと男はハンマーを振り上げる。
「こんな日に泥棒かよ」
「誰だ」
「サンタだよ」
「ふざけるな!どこだ!」
「ここだよ」
電柱の上部に若いサンタがひとり。
「お、お前はなんだよ」
「見りゃわかんだろ」
「なにしてんだよ」
「プレゼント配るんだよ」
「……まだ若いよな」
「絵本じゃあるまいし。白髪の?フサフサの?いねーよそんなの」
サンタは軽々とベランダに飛び移った。
「く、来んなよ」
「おうちの人のセリフだよ」
サンタはそう言うと、魔法のように簡単にガラス戸を開けた。
ふたりがそっと中に入ると、突然、部屋の明かりがついた。
「ギャーッ!」
そこに居たのはナマハゲだ。
「お前はさぁ、早すぎんだよ!」
公開:18/12/18 13:59
更新:18/12/23 12:37

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