その日の悪魔

その日の悪魔は私の内から現れ
そして誰かを傷つける

新しく来た新人の子。
言葉遣いも良く、気配りも出来、可愛い。
新人研修の時から、彼女のくる部署は当たりだと言われていた。
嫌な事に私の部署に来た。
前評判よろしく、すぐ部署にも慣れ、華になった。
面白くなかったのは私だけじゃなかったはずだ。
その日私は、彼女が挨拶しても返さなかった。
その次の日、仕事の申し送りをしなかった。
その次の日、私は彼女の丁寧な言葉遣いを真似てからかった。
彼女は辞めた。
周りの人達から影で何か私は言われたはずだが、居なくなってせいせいしたし、気にしない。
そして私は会社で私の事が好きだと言ってくれた男性と一緒になり、子も授かり、私のワガママはいつも誰かが受け止めた。
ーー横で誰かが嫌な顔をした。

その日の悪魔の怖いのは、それがいつか私にも降り注ぐという事。
私は厄介な悪魔。
同じ事をされ、老いて気づくのだ。