毛祭りの日

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今日は愉しい毛祭りだ。

 そこの毛
  そこの毛
   逢魔が通る♪

奇妙な節回しを付けながら、褌一丁の男衆が、山の頂上を目指し登ってゆく。麓の鳥居をくぐり、急な石段を登り、山の頂上にある神社を目指して登ってゆく。
男衆が担いでいるのは御毛々様。
人間の数倍はある黒々とした大きな御毛々様を担ぎ、次々と石段を登って行く。山の頂上にある鳥居をくぐり、神社の境内に続々と運ばれる御毛々様の御一行。
はぁはぁと息を切らし、男衆は顔を赫らめて興奮している。

 どこの毛
  どこの毛
   どこ植わる♪

巫女装束を纏った女が、奇妙な節回しで男衆を招き入れる。
「どうかお許しを!」
拝殿の柱に縛られた生贄になる寺の坊主たちが、御毛々様の到着に恐怖した。
「貴様ら、毛祭りに上げてやりな!!」
巫女の号令と共に男衆は一斉に立ち上がると、うねうねと動き回る御毛々様たちを、禿げた頭の上に植えていった──。
ファンタジー
公開:18/12/19 01:47
更新:18/12/19 02:03
毛祭り

渋谷獏( 東京 )

(੭∴ω∴)੭ 渋谷獏(しぶたに・ばく)と申します。 小説・漫画・写真・画集などを制作し、Amazonで電子書籍として販売しています。ショートショートマガジン『ベリショーズ』の編集とデザイン担当。
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