ドッペルゲンガー

8
10

自宅のソファーで年賀状を読む。世界に散らばるドッペルゲンガーからだ。

可能性の扉。

何らか選択を迫られたときに現れる扉。その扉から、選択されなかった自分がドッペルゲンガーとして現れる。彼らはもう一人の自分として、違う生き方を見つけて暮らしている。

理系を選択した俺。
憧れの先輩に告白することを選択した俺。
合コンに参加しなかった俺。
結婚より仕事を選んだ俺。

彼らを見る度、今の自分と比べることも多かった。その都度疎ましく思い、殺したくなることもあった。

しかし……

「お父さん、お茶飲む?」

家族ができてから、優先順位は代わり、どんな選択をした自分たちも誇らしく応援する気持ちになった。やはり、家族は素晴らしい。

「お父さん……」
「なんだい? もうお年玉あげただろ?」
「実は……会って欲しい人がいるんだけど」

目の前に扉が現れた。
俺は扉の前に立つと鍵をかけた。
SF
公開:18/12/18 23:59

イチフジ( 地球 )

マイペースに書いてきます。
感想いただけると嬉しいです。

100 サクラ

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容