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「ああ・・・寒い」
彼は重ね着した上に羽織った外套の袖を交差するように掴み、ぶるっと身体を震わせた。
肌をさすり、自ら発熱をさせようとしたが、冷風がすぐに熱を吹き飛ばし、肌に霜を敷き詰めた。
氷の土台が完成してしまえば、あとは凍結を待つばかりであるが、それに抗うのが人間の性でもあった。
ふと今朝のテレビの報道を思い出した。
一昨年、去年とだんだんと気候に乱れが生じ、現在の日本の冬の気候は北極圏の気候とさほど変わらないとのことであった。
信じるか否か、家から外に飛び出してみれば、この有様であり、信じざるおえない、寧ろ、確信をしたのであった。
彼は腕組みをやめ、股袴の袋状の小さな物入れに、悴み、赤く腫れあがり、蕁麻疹になる手前の手をそこに入れた。
ふと、空を見上げれば、屋根はなく、天からぼた雪が追い打ち掛けるように降ってきたのであった。
その他
公開:18/12/18 23:43

神代博志( グスク )









 

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