冬桜、ひらり。-下~フラワーネットワーク・アナザー④
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「さて、墓参りも済んだ。うららちゃん、何か要望ある?」
「ちゃんは余計。何回言わせるの、もみじ君」
「昔の癖で。店じゃ『店長』と『美咲君』だったし、まだ慣れない」
「早く慣れて。でないとじき『お母さん』って呼ぶ事になるわよ」
「またそんな、可愛い顔する。そろそろ格好良いも目指さない?」
「……黙ってる方が悪い。この寒いのに無茶して」
「貴方がくれた、サプライズプロポーズのお返し。一応先生の許可は取ったわ」
コートの上にコートが乗る。
「車に乗れ。旅館に直行するぞ」
一瞬で男の顔。半分はもう父親の顔。
子供で、大人で。繊細で、大胆で。不器用で、愛情深い人。
「生まれる頃は、夏になってるわね」
「ひらり」
「何?」
「名前。今決めた。美咲ひらり」
「男の子だったらどうするの?」
「次に持ち越す」
「俺は、子供は複数欲しい」
「……異議なし」
フロントガラスを風花が滑る。薄紅の桜の舞う様に。
「ちゃんは余計。何回言わせるの、もみじ君」
「昔の癖で。店じゃ『店長』と『美咲君』だったし、まだ慣れない」
「早く慣れて。でないとじき『お母さん』って呼ぶ事になるわよ」
「またそんな、可愛い顔する。そろそろ格好良いも目指さない?」
「……黙ってる方が悪い。この寒いのに無茶して」
「貴方がくれた、サプライズプロポーズのお返し。一応先生の許可は取ったわ」
コートの上にコートが乗る。
「車に乗れ。旅館に直行するぞ」
一瞬で男の顔。半分はもう父親の顔。
子供で、大人で。繊細で、大胆で。不器用で、愛情深い人。
「生まれる頃は、夏になってるわね」
「ひらり」
「何?」
「名前。今決めた。美咲ひらり」
「男の子だったらどうするの?」
「次に持ち越す」
「俺は、子供は複数欲しい」
「……異議なし」
フロントガラスを風花が滑る。薄紅の桜の舞う様に。
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公開:18/12/16 16:00
更新:19/03/03 18:58
更新:19/03/03 18:58
創樹(もとき)と申します。
葬祭系の生花事業部に勤務の傍ら、物書きもどきをしております。
小石 創樹(こいわ もとき)名にて、AmazonでKindle書籍を出版中。ご興味をお持ちの方、よろしければ覗いてやって下さい。
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ベリーショートショートマガジン『ベリショーズ』
Light・Vol.6~Vol.13執筆&編集
他、note/monogatary/小説家になろう など投稿サイトに出没。
【直近の受賞歴】
第一回小鳥書房文学賞入賞 2022年6月作品集出版
愛媛新聞超ショートショートコンテスト2022 特別賞
第二回ひなた短編文学賞 双葉町長賞
いつも本当にありがとうございます!
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